岩地のキミナゴ漁


●キミナゴ漁とは、毎年11月頃から春先にかけて村民総出で一致団結して行われる岩地の伝統的な地引網漁です。

●黒潮に乗って南の方からやって来るキミナゴの群れをスズキなどの回遊魚が岩地湾内へ追い込んでくれるのを待って、大群が入り込んだ時に網をかけるのです。

●網をかけるタイミングは、ベテランの漁師さん達が日々の生活の中で沖合いの状況の変化を監視しており、気象状況などにも配慮しながら時機を見計らって一斉放送にて合図されます。
放送設備のない時代には、ホラ貝を吹いたり、お互いに「キミだぞー、出れよー」などと大声で知らせ合っていました。

●この時ばかりは、皆の顔がほころび声がはずみ、岩地の浜は一瞬にして活気にあふれ賑やかになります。
まず男性軍は網船を降し船に乗り込み網をかけます。女性軍は網船が浜に戻ってくるのを待って網引きを行います。

●獲れたキミナゴは網の中からタモ網で船にすくい上げられ、波止場に運ばれ、水揚げされて参加者に配分されるのです。このような一連の作業はかなりの重労働ですが、皆で汗を流し力を出し合って共同作業するのが昔からの岩地の慣習となっております。まさに働く喜びと大漁の喜びを同時に味わえる感動のひと時です。


●各家庭では、目刺し用にセイロに干したり、生のまま親戚や知り合いにおすそ分けしたり後始末に追われます。当然ながら当日の食卓はキミナゴのお刺身、酢味噌、煮付け、から揚げなどキミナゴ料理のオンパレードとなります。干してから造るキミナゴの目刺しはビールのおつまみにピッタリですね。また、保存されて岩地の郷土料理として民宿の料理にも使われます。

●まずは、写真をご覧ください。
岩地で漁村体験をされる皆様に少しでもお役に立てて頂ければ幸いです。







▲波止場にて、バケツリレーで水揚げしているところです。


両側から中央へ少しづつ引寄せていきます。


両側の網の下を合わせるように引き揚げて、魚群を沖合いへ追いやっていきます。

網の中央部は袋状になっており、魚群が集まったところで袋網を引き揚げ、船の中へすくい揚げます。

網から逃げ出したキミナゴをカモメの群れが漁っているところです。

3トン分のキミナゴを満船し今にも沈みそうです。
今回の水揚げ量はこの船で5杯分でした。


まだ半分位は網の中にいるようでしたが、処理しきれないため、逃がしてあげることにしたそうです。


5航海目の水揚げ準備でやや疲れ気味です。


網の中のキミナゴの群れです。

すぐ薄塩にしてセイロに散りばめて乾燥させます。

半乾きの時期を見計らって裏返し、夕方には取り込みます。


引き揚げ後の地引網

網は砂浜に広げて乾燥させます。

波止場で水揚げしながら分配します。

一緒にやって来たカモメの群れ

薄塩で1時間ほど寝かせます。

水洗いしてセイロ干しの準備です。

今晩のお刺身用です。

セイロに散りばめて乾燥させます。

キミナゴ干し風景

防潮堤に並べたセイロは見事です。

湾内でくつろぐカモメたちと鳶

半乾きになったところで目刺し造りです。

冬の陽だまりで作業するのがのどかです。

岩地ならではの、漁村らしいのどかな風景です。



▼地引網の積込み作業風景